ポッポの丘の103系
103系といえば、それぞれ好みの塗装、運転台の高さ、戸袋窓の有無などで派閥があるところで、同じ形式が好きなのに争いが絶えない車両のイメージがあります。
個人的には戸袋窓が残存した東日本スタイルの車両が好きでした。
JR東日本では仙石線の103系が最後まで活躍しており、引退前のイベントでは定期快速の代走に入る姿を撮影しに行ったりもしたものです。が、仙石線の103系はラストランの数か月後にあっさりと解体されてしまいました。
この他、鉄道博物館には103系のカットモデルも保存されました。
鉄道博物館の開館後、暫くは最終運用時の姿に近い状態で残されていましたが、2017年の施設リニューアルに伴いカラーリングが大幅に変更されております。
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▲2011-07 103系カットモデル 現役時に近い姿で保存されていた頃 |
103系は東京近郊でも多く活躍していたものの、東京近郊には保存車が極端に少なく、しかも一般に公開されているのは鉄道博物館のみ。という状況が暫く続いておりました。
とは言っても、一般に公開はされていないだけで、隠された保存車というのは何両かありました。2020年に千葉県いすみ市、ポッポの丘で公開された103系もそのうちの一つです。
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▲2020-07 クハ103-525 |
この、クハ103-525は武蔵野線北府中駅に隣接する、東芝府中事業所内に保存されていた実験車両のうちの1両です。
稀に、武蔵野線の車窓からその姿を捉えることはできましたが、見れたらラッキーというような存在であり、一般公開と言うにはやや難のある存在でした。
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▲2020-07 クハ103-525ほか |
東芝府中事業所内に搬入されて暫くは、キャラクター等の描かれた奇抜な塗装の時期もありましたが、2010年ごろに武蔵野線をイメージしたオレンジ一色に塗装変更されました。このときは末永く保存されるものと思ったものです。
しかし、物事はそう上手くもいかないようで、10年も経過すると同車は解体の危機に瀕します。そこに待ったをかけたのが千葉鉄道車両保存会の方々。
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▲2020-07 クハ103-525 ATS-B形車上子が残る連結器回り |
営業線からの撤退は1994年と早かったこともあり、原形らしさを残すこのクハ103-525。
当時の主力だったATS-B形車上子も連結器回りにしっかりと残されています。(ATS-Pは未施工)
保存会によると、同車はスカイブルーへの塗装変更が予定されているとのこと。クハ103-500代は京浜東北線に馴染み深い存在ということもあり、この塗装変更も納得です。
昨年の訪問時は修繕作業の真っ最中ということもあり、やや痛々しい姿だったのが心残りでした。今後、美しく塗りなおされた103系の姿を拝める日がとても待ち遠しく思えます。