にぎやかな未来
小学生のころ、国語の授業が好きでした。
今回のタイトルに選んだ「にぎやかな未来」という短編小説も、そんな授業中に出てきた内の一つだったと思うんですが、すごく印象に残っている作品でした。
作品の舞台は、働かずとも生活ができるほどに、政府から手厚い支援が行われている世界。
そんな政府はどこから財源を集めているかと言うと、それは一般企業からの広告収入。
政府は生活困窮者に家を与える。与えた家にはラジオが備え付けられ、そこでは企業のコマーシャルが流れている。
街に出ると、色々なものが無料で配られているが、それも全て試供品やコマーシャルのもの。
さて、このけたたましいコマーシャルから抜け出す方法とは何でしょうか。
「にぎやかな未来」という作品について、あらすじをざっくり書くとこんな感じです。
この作品についてのツイートが回ってきて、あまりの懐かしさに思わず電子書籍で購入してしまいました。鉄道やマンガ以外の本を買うなんてとても久しぶり。
作中では「ラジオ」や「レコード」といったワードが登場するので、新しい作品でないことは想像がついたのですが、この記事を書くために執筆年を調べてみたところ、作品が描かれたのは1968年だそうです。
このことを知った時、背中を指でなぞられてゾワっとするような、奇妙な感覚を覚えました。
数ある空想未来作品のうちのひとつが、偶然現代を予測するような内容になっただけだと考える人もいると思います。
ただ、執筆当時の風潮に基づいた考察から未来を推測したら、こんな風になるだろう。なんて作者が考えていたとしたら、それは物凄い考察力だと思いませんか?
いま、自分が50年後の未来を想像しようとしても、とても視える気がしません。
多分それは、日常に対しての関心の薄さとか、将来への不安を言い訳にした逃避にすぎないのかもしれません。
今年の目標は『もう少し、自分の現在地を見極めて、視野を広く持つ努力をする』ことにしましょうか。