さよなら電直

小田急1000形で最後の未更新車となる1058×4編成ですが、もう間もなく定期運用から離脱することが予想されます。 同編成の引退により、小田急線の一時代を築いた電磁直通ブレーキ車が終焉を迎えます。 ▲2017-01 小田急1091×10(未更新時代) 本当は1058×4の写真が理想なんでしょうが、赤1000は1枚も写真がなくて…… 電磁直通ブレーキというのは戦前型の省電や国鉄63系にも導入された用いられた技術で、10両を越える長大編成でも即応性に優れたブレーキ力を確保出来るのが強みでした。 ところが小田急1000形が登場したのは1980年後半、この頃になると、より即応性に優れた電気指令ブレーキが主流になってきます。 しかし、当時の小田急線では1964年に登場した2600形など、旧型車との併結運用が当たり前のように存在しました。 小田急線では初のVVVFインバータ制御装置を搭載して登場した1000形ですが、ブレーキ方式については在来車との併結を考慮し、回生制動併用電磁直通ブレーキが採用されます。 ちなみに、後年登場した小田急3000形はブレーキ読替装置の搭載により、電気指令式ブレーキを採用しての在来車併結運転が行われました。 電磁直通ブレーキ車には、直通ブレーキの欠点(列車分離時などにブレーキが効かない)を補うため、自動空気ブレーキ機構が装備されています。 この機構を活かして、引退前のツアー列車では自動空気ブレーキによる駅停車なども行われていたようです。 (※長大編成の自動空気ブレーキは即応性に優れず、操作の難易度が格段に上がるため一般的には使用しない。) ▲2017-02 小田急1096×10 5年前は更新10連の方が貴重でした 2014年度より1000形のリニューアル工事が開始されますが、この頃になると電磁直通ブレーキ車は8000形の一部と1000形のみ。 また、日中に分割併合を伴う運用も消滅したことから、リニューアル工事に合わせてブレーキ方式が電気指令式に更新されました。 結果としてブレーキ即応性、回生電力量が向上し、より安全・環境へ優しい車両へと生まれ変わった小田急1000形。 今後まだ暫くは、小田急線の主力車両として活躍する姿を拝むことが出来そうです。 ここまで書いておきながら、1000形の未更新車が消滅することの実感が湧きません…… いわば当たり前のように...